私は自営業でお店や施設の集客に携わっているのですが、独立して初めてもらえた仕事が歯科での案件でした。
小売店や娯楽施設を前提としていたので、この話をもらったとき正直予想外ではありましたが、いい勉強にもなると考え受けてみることにしたのです。
しかしこの分野に関してはまったくといってよいほど知識がなかったのでまずは情報収集から始めました。
思い返してみるとよく通勤通学途中に駅や沿道で歯科の看板広告を見かけるなと思い、最初は街中を歩きながら様々な歯科の看板を見て回ることにしました。
こうして街の看板広告を眺めていると、気付いたことがありました。
それは商業施設の華やかなものに比べて歯科の看板はどこも地味で文字ばかりのものだったということです。
不思議に思い調べてみると、どうやら医療法で歯科の看板に関しては様々な規制があり、結果としてビジュアル面をアピールするようなものはあまり出せないようになっているようでした。
仕組みはわかったものの、これでは集客力を上げるための重要な要素の一つである看板広告での差別化というのはなかなか難しいものがあります。
そこで私は、歯科にとって何か別の看板となる存在を用意する必要があると考えました。
そして考え付いたのがマンガの貸し出しをするということです。
私が受け持った案件の歯科は、隣に小学校や高校があって、ここには毎年新規の顧客候補が数百人ずつ入学してきます。
この顧客候補たちに向けて何か印象的なものを用意して、頭の中に歯科の看板を創りだせばよいと考えたのです。
レンタルコミックは取次会社を挟む必要がありますが、特別な能力がなくてもしっかりとした手順さえ踏めば行うことができます。
これをきっかけに歯科を訪れる人は増え、結果として歯科そのものの顧客も増えました。
この経験から歯科の看板のように何か規制があったとしても、その分新しい価値を創造する余地があるのだと学ぶことができました。